物件名 旧家K
所在地 ***
探索日 2004/10
廃墟日 不明
分類・規模 民家・民家としては大きい
撮影者 TEL
写真コメント pcfx


母家の正面。古い日本家屋の特徴を多く残す旧家。今はもう取り壊された。



土蔵もあった。末期には解放されたが、我々が見たときにはなにもなかった。



母家内部の壁は漆喰。そして外から引かれた剥き出しの電線。



昔、日本人は木と紙とともに生活していた。



大正時代のモダニズムも残されている。



土間があり、そこも何らかの器具が積まれていた。外套かけもあった。



破れ放題割れ放題。



階段箪笥。江戸の伝統を今に伝える。



台所には石のシンク。水道はあったが、シンクは小さかった。



なんと「電話室」がある。そうとうな金持ちだったに違いない。



手で回して発電し、交換手に回線を繋いでもらう形式の時代。それでも当時ではハイテク。



なぜか散らばる髪の毛。



そしてカツラが落ちている。何をしたかったのだろうか。女装か心霊ごっこか。



倉庫として使われていただけの、単なる旧家を勝手に供養し、線香を焚く者がいた。



風呂はゴエモン風呂。蓋を湯に落としてから入らないとヤケドをする。



よっぽど髪の毛が好きな者がいたらしい。



土間から二階に上がる急階段。



天井には積年の埃がつもっている。



階段を上がって二階に出る。昔は二階は倉庫や作業部屋だった。



学習机があった事から、子供部屋として使っていたらしい。



金属のゆたんぽ。最近になってリバイバルブーム。



昔は長持ちという棺おけのような箱に物を収納していた。



この長持ちは宝の山だった。少女雑誌の1ページ。四畳半を間借するのがオシャレだった。



綴り方模範文集ととうじの経済誌。富国強兵には学問が必要だ。



工作教科書。いきなり爆撃機でも作ったのだろうか。しかも女子用。



味がありすぎる装丁。空海もお座り。



皇国の興廃はこの一戦にあり。しかもこれはWW1以前。



主婦雑誌。中身は髪型・料理・化粧・恋愛・結婚。今と変わらない。



改造しようと頑張ったが、変わっていない。



一方、男性誌も内容はエロ本。男性も変わっていない。



尋常小学校(今の小学校)6年生の理科の教科書。「文部省」の主張がでかい。



太閤記8巻。木下から羽柴へと姓を変えた頃の話を収録。後に豊臣に。



このイケメンは耕介さん。



大正2年の正月に撮影。



婦人誌な中身を見ると、避妊具の広告。最近ペッサリーとか見ないが、使ってる人いるのか。



このトランクケースはカヨさんの物が入っていた。



そのカヨさん。



K・カヨ。御署名。



幼少の砌に描かれた作品集。達磨・兵隊さん・軍艦。女の子にしてこのモチーフ。



大正14年にして、このような立派なノートに帳簿を付けていた。



昭和13年当時の200円は大金。1000円で小さい家が建った頃。



図書館にも100円を寄付。相当な資産家にして愛国者だった。



勝手門から退出させていただきました。



物件の感想 by TEL

昔当主が一家を惨殺したとか、皆殺しがあったとか噂がある。しかし近所に古くから住む
友人の話では「祖父に聞いてもそんな事は聞いたことがない」そうである。

ちなみにご近所の人に取材を試みたところ、「引越しをして空家になっただけで夜中に
ヘンなのがたくさん来て困る」そうだ。ちなみに引越しをした持ち主の方に「取り壊し」を
御願いしているとの事。特に2004年の夏にはキモラーやDQN達が大挙してやってきた
そうだ。(翌年とうとう取り壊されました)
まったく人の噂と言うものは無責任極まりない。

草が高く茂り荒れ放題の庭の奥に母屋が現れる。

急勾配の階段。老人はきっと上がれなかったと思う。

名家だったのか、過去の功績がたくさん残って在りし日を称える。(各表彰状)

家の中は歩くと全体が揺れ、いささか怖い。

土蔵は硬く閉ざされ開くことはない。

カヨさんの作品が数多く眠る。

古い家屋に眠る、軍靴の音高く聞こえる頃の品々。携帯全盛で一人1台電話を持つ
時代の我々に問い掛ける「電話室」。

大正と昭和が行き交う頃の古きよき時代を満喫いたしました。

記憶と記録に勝手ながら残させて頂きます。






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