母家の正面。古い日本家屋の特徴を多く残す旧家。今はもう取り壊された。 土蔵もあった。末期には解放されたが、我々が見たときにはなにもなかった。 母家内部の壁は漆喰。そして外から引かれた剥き出しの電線。 昔、日本人は木と紙とともに生活していた。 大正時代のモダニズムも残されている。 土間があり、そこも何らかの器具が積まれていた。外套かけもあった。 破れ放題割れ放題。 階段箪笥。江戸の伝統を今に伝える。 台所には石のシンク。水道はあったが、シンクは小さかった。 なんと「電話室」がある。そうとうな金持ちだったに違いない。 手で回して発電し、交換手に回線を繋いでもらう形式の時代。それでも当時ではハイテク。 なぜか散らばる髪の毛。 そしてカツラが落ちている。何をしたかったのだろうか。女装か心霊ごっこか。 倉庫として使われていただけの、単なる旧家を勝手に供養し、線香を焚く者がいた。 風呂はゴエモン風呂。蓋を湯に落としてから入らないとヤケドをする。 よっぽど髪の毛が好きな者がいたらしい。 土間から二階に上がる急階段。 天井には積年の埃がつもっている。 階段を上がって二階に出る。昔は二階は倉庫や作業部屋だった。 学習机があった事から、子供部屋として使っていたらしい。 金属のゆたんぽ。最近になってリバイバルブーム。 昔は長持ちという棺おけのような箱に物を収納していた。 この長持ちは宝の山だった。少女雑誌の1ページ。四畳半を間借するのがオシャレだった。 綴り方模範文集ととうじの経済誌。富国強兵には学問が必要だ。 工作教科書。いきなり爆撃機でも作ったのだろうか。しかも女子用。 味がありすぎる装丁。空海もお座り。 皇国の興廃はこの一戦にあり。しかもこれはWW1以前。 主婦雑誌。中身は髪型・料理・化粧・恋愛・結婚。今と変わらない。 改造しようと頑張ったが、変わっていない。 一方、男性誌も内容はエロ本。男性も変わっていない。 尋常小学校(今の小学校)6年生の理科の教科書。「文部省」の主張がでかい。 太閤記8巻。木下から羽柴へと姓を変えた頃の話を収録。後に豊臣に。 このイケメンは耕介さん。 大正2年の正月に撮影。 婦人誌な中身を見ると、避妊具の広告。最近ペッサリーとか見ないが、使ってる人いるのか。 このトランクケースはカヨさんの物が入っていた。 そのカヨさん。 K・カヨ。御署名。 幼少の砌に描かれた作品集。達磨・兵隊さん・軍艦。女の子にしてこのモチーフ。 大正14年にして、このような立派なノートに帳簿を付けていた。 昭和13年当時の200円は大金。1000円で小さい家が建った頃。 図書館にも100円を寄付。相当な資産家にして愛国者だった。 勝手門から退出させていただきました。
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